ViolaWorld

種まき



 まず最初に、ビオラのタネは他のスミレの仲間(Viola属)と同じく、熟した直後が一番良く発芽するということを知っておいてください。この時期に蒔かれなかったタネは、休眠状態に入って、蒔いても直ぐに発芽することはありません。
 いったん休眠に入ったタネは、10℃以下の低温にある程度の期間さらされないと、休眠が破れずに発芽しません。タネの状態で冬を経験する必要があるのです。でもビオラのタネは、乾燥させた状態でも低温に感応するため、播種前に一週間以上冷蔵庫に入れておけば十分なのです。これで湿冷処理が必要な多くの山野草などに比べると、とても簡単に発芽させることが出来ます。 これによりビオラはある程度の温度がありさえすれば、一年中いつでも発芽させることができます。
 タネから育てる時には、是非育苗箱や鉢・ポット・プラグトレーを使って種まきをしてください。直播にしますと、多くのタネを無駄にしてしまいます。安全、確実に育てましょう。
 用土ですが、出来るだけ無菌のものをお使いください。初心者の方でしたら、市販の種蒔き用土をお使いになるのが、一番簡単でしょう。ベテランの方でしたら、通常種蒔きにお使いの用土で、間に合うと思います。大量に蒔く私は、赤玉土、バーミキュライト、ピートモスを等量混合し、化成肥料と酸度調整のためクド石灰を適宜混ぜて使っています。
 育苗箱、鉢は新しいものであれば問題ありませんが、古いものをお使いになるときには、よく洗って洗濯用の漂白剤にしばらくつけ置きして、乾燥後にお使いになれば、病気の心配もなくなります。
 いよいよ種蒔きですが、育苗箱、鉢に適当に用土を入れ、平らにならします。そこに、1cm以上の間隔で、タネを蒔いていきます。土をかける(覆土の)必要はありませんが、発芽まで水を切らさない自信の無い方は、タネが隠れる程度に土をかけておいてください。乾かさないように管理すると、1週間から十日ほどで発芽してきます。
 秋から年末にかけて咲かせるためには、どうしても暑い夏場にタネを蒔かなければなりません。そのためには用土や資材を、出来るだけ無菌の状態で使ってください。遮光したり日陰に置き、通風を図って出来るだけ涼しく管理します。夜温の下がらない都会などでは、打ち水などをして少しでも涼しくする工夫をしてください。保冷剤などを使って、温度を下げる工夫をなさっている方もいるようです。ここで、ちょっと知っておくと便利なことがあります。一般に、温・寒帯の植物は、一日の温度較差が大きいほど発芽率が高くなります。ですから猛暑が続いていても、夜の温度を、出来るだけ涼しくすることで、発芽率を高めることができます。
 先に1cm以上の間隔でと書いたことが、夏の種蒔きでは特に大きな意味を持ってきます。暑い時期は、出来るだけ移植をしないようにしたいからです。小さな苗が暑い時期に根を切られることは、致命的なダメージになってしまいます。ビオラはとても丈夫な植物ですが、苗の時期の立ち枯れ病には、とても弱いのです。発芽したら、真夏でも出来るだけ明るい日陰に置き、なるべく朝夕くらいは直射日光に当て、少し乾き気味に管理します。温度の高い時期に、光線が不足するとすぐにモヤシになってしまいます。
 秋の種蒔きは、夏に比べるとずっと楽です。生えるまでは乾燥に注意して、芽が出たら十分に日光に当てて丈夫に育ててください。


これは、最高気温が35℃以上の日が続いた時に播種して、1週間目に発芽が揃い始めた画像です。
遮光ネットと雨よけだけの状況でも、問題なく発芽しています。